開業物件を探される際、診療圏調査や駅からの距離、競合の有無など、いろいろな要素で検討されると思います。
その一方で、設計的な視点での検証がおろそかになるケースがしばしば見られるように思います。
そんな設計者の視点からみて注意するポイントをこれから何回かにわたってご紹介してゆきたいと思います。

まず最初のテーマは「電気容量」です。

クリニックではレントゲン装置やオートクレーブのように消費電力の大きい医療機器が複数必要になります
特に整形外科や審美系皮膚科などの科目はより多くの容量を必要とします。
しかし一般的なテナント物件では十分な電気容量が確保されていない場合が多く、特にオフィス物件などでは
足りないケースが多く見られます。

ちなみに40坪程度の内科クリニックですと電灯150A(アンペア)、動力100A程度を確保したいところですが、
同規模のオフィス物件の場合、ともに半分程度しか供給されていないこともあります。
そのような場合は電気容量の増設を建物側にお願いする必要があるのですが、建物全体の電気の供給状況によって、
増設が不可能であったり、可能だとしても高額な改造工事が必要な場合があります。
賃貸借契約後にそういった問題が発覚した、といったケースもありますので、物件選定の際は不動産屋さんや
設計士さんに事前の相談していただく良いと思います。

 

某形成外科さんの候補物件をチェックしに行きました。
このように区画内のパイプスペースなどに分電盤が設置されています。
電気容量01

 

こちらの電気容量は電灯の容量が100Aでした。
レントゲンや医療機器の容量を考えると最低150Aは必要と思われたので、建物オーナーと協議のうえ容量を上げてもらいました。
幸い建物の電気許容量に余裕があったので、大きな工事費をかけずに対応できました。
電気容量02