先日、目黒区の保健所との協議のために目黒区役所に行ってきました。
ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが実はこの庁舎、昭和を代表する建築家村野藤吾の代表作の一つなのです。
保健所との協議のあとにちょっと散策して写真をとってきたので紹介したいと思います。

もともとは1966年に千代田生命の本社ビルとして建てられた建物なのですが、
バブル崩壊で千代田生命が経営破綻した時、ちょうど区役所の手狭の問題に直面していた目黒区がタイミングよく買取ったのです。

まずはこの外観。近代モダニズム建築の特徴である直線的構成とモノトーンの色調がストイックで美しいですね。

 

外壁の内側は回廊になっていて、連続するスリットの影と天井に反射する池の水面がこれまた美しいです。

 

現在、区役所のメインの入口は実は建物的には裏口でして、こちらが本来の玄関です。翼を広げたような迫力のある庇とそれを支える不規則な配置の柱。この不規則性は自然の木のイメージだそうです・・・・・ほおー。

 

玄関を入るとこんな感じのホールです。床は白大理石

 

天井にはガラスモザイクが内側に貼られた天窓。作野旦平というモザイクフレスコ作家さんの作品だそうです。

 

足元にはアクリルでできた十字型のオブジェ。当時は特注のスタンド照明器具だったそうです。

 

そして、「階段の魔術師」と言われる村野藤吾のらせん階段です。有機的な曲線とそれらを軽やかに見せようとするディティールが特徴的です。
例えば1段目は浮いて見えるいるように設計されているそうで・・・・・たしかに。

モダニズムの直線性と村野藤吾独特の有機的な曲線が絶妙なバランスで共存していると思います。
にもかかわらず、これらの見どころは普通に区役所を利用する人たちの動線から外れているので、ほとんど目に触れない状況になっています。もし目黒区役所をご利用になる機会がありましたら、ちょっと庁舎内を散歩してみてはいかがでしょうか。