前回は「電気容量」についてお話ししましたが、今回のツボは「排水」についてです。

一般的なクリニックでは流し台やトイレなどの水まわりの設備を多く用意する必要があります。
それらの設備は排水管と接続され、建物の外に排出されるわけですが、この排水設備が区画内に用意されていない
ケースがよくあります。とくにオフィスタイプの物件は顕著です。
オフィスタイプの物件はフロアの共用部にテナント区画とは独立してトイレや給湯室がレイアウトされており、
区画内から直接排水できない構造になってる場合があります。

こういった場合、ビル側と協議の上、既存のトイレから排水管を延長したり、新たに外部から排水管を配管するなどの
お願いをすることになるのですが、技術的に困難であったり、ビルのルールとしてNGの場合もありますので、
事前によく確認することが必要です。もちろん、OKの場合でも別途工事費用が発生します。

また、仮に排水設備がちゃんと用意されていた場合でも注意することがあります。
それは「天井高」です。歯科のように床下に多くの排水管を配管する必要がある場合は全体的な床上げの必要があります。
床上げの高さが30cm程度だったとすると、天井高さ2m40cmのテナントでは、床上げ後には天井高2m10cmとなってしまい、かなり圧迫感のある空間になってしまいます。
もし天井裏の空間に余裕があれば、天井のラインを上げることにより、解決することも可能ですが、天井裏には空調関係の設備や構造体の梁が隠れているので、なかなか思うようにいかないのが常です。

解決策のひとつとしては区画壁際に排水ルートを確保して床排水ではなく、壁排水にて対応できるようなプランにする、ということがまず考えられますが、科目の種類や区画の形状によって差がでますので、物件ごとに設計士さんに相談されることをオススメします。

 

このようなかたちで排水管が供給されていると安心です。排水1

 

床下を配管が通ってゆく様子です。
排水3

 

また入口の高さより区画内の床面がこのように低くなっていると、階段やスロープなどを設けずに床下配管が可能となります。
排水2